


―この四年間、専攻ではどのような課題に取り組んできましたか?
与えられた課題やキーワードを自分なりに解釈して作品制作を行いました。「無形の可視化」や「ヒューマン・ボディ・フレッシュ」など、一見よくわからない単語も調べて考えるうちに、だんだんと自分なりの解答が見えてきます。
その過程が自分のキーコンセプトをより深めることに繋がります。
―専攻での課題からはどのようなものを得ましたか?
私が課題から得たものは「思考力」です。
課題を与えられると、そこに込められた言葉の意図や内容を何度も咀嚼して考えます。それを自分の中に取り込んで更に思考を重ねることで、自ずと作るべき形や使うべき素材がみえてきます。



―卒業制作のテーマ・コンセプトについて教えてください。
私は「生物は筋肉や骨や内臓が皮袋に包まれているだけにすぎない」というコンセプトをもとに制作を行っています。今回は、人間においてその表面にある皮としての外見や立場、世間体を取りさらった時に初めて内面にある意思や欲望が見えてくるのではないか、という考えから制作を行いました。
―どのような材料を使って制作しているのですか?
私は動物の内臓を主なモチーフとして制作しています。最近は鶏の心臓を扱うことが多く、血抜きや捌くことも自分で行います。
―制作にあたっての苦労について教えてください。
生ものを素材にしているので、腐敗や乾燥によって形状が変化しコントロールしづらいところに苦労しています。しかし時間の経過とともに見え方が変わる様子は美しくもあります。
―差し支えなければ、卒業後について教えてください。
あ今後は、制作も続けながら子ども達に美術を教える活動をしていくつもりです。美術を通して、日常を豊かにするだけでなく、それぞれが自分自身を見つめ直すきっかけとなるような作品を作りたいです。
―卒業・修了作品展へご来場される方へ、メッセージをお願い致します。
卒業・修了作品展は、私達の集大成であり、スタート地点でもあります。そしてこれがいま現在、自分たちに出来る精一杯の自己表現です。どうぞお楽しみください。