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『海鳴り』2015

―現在制作しておられる作品・活動内容、またはご職業について詳しく教えてください。

 

 

学部を卒業した後、大学院博士後期課程まで進み、現在は本学日本画研究室で非常勤助教として働いています。引き続き日本画に取り組み、主に個展やグループ展での発表を行なっています。大学は研究機関としての役割の他、地域に根ざした活動にも関わることができる場なので、そうした中での仕事の一つとして、2014年と2015年、広島護国神社へ大絵馬を奉納しました。普段の作風とは少し離れた表現が必要でしたが、古典技法を参考にしながら制作を進め、また設置する場所も神社の本殿という特殊な場所でしたので、とても新鮮でやり甲斐を感じる仕事でした。

また、大学では授業の補助をしながら学生さん達と接する中で、自分自身が学生だった頃をよく思い出します。その頃の自分と比較して、共感したりまた驚いたりしながら、今の学生さん達から瑞々しい感覚や、色々な刺激を受けています。

 

 

 

―大学時代についてお聞きします。どのような大学生活を送りましたか。

 思い出に残るエピソードなどがございましたら是非教えてください。

 

 

一番印象に残っているのは、時間に厳しかったことです。課題の制作期間も締め切りもきっちり決められていて猶予はありませんでした。締め切りまでに思い通りの完成に仕上げられたことは一度も無く、講評会でも取材不足や詰めの甘い箇所は容赦無く指摘されました。

時間さえもっとあれば、と何度も思いましたが、今になって、画面に向かう時間が多ければ多い程良いというわけではなかったんだなと思います。本を読んだり、どこかに出かけたり、誰かと話をしたり、そういう日々を過ごす時間の中にこそ、作品を完成まで導くヒントがあるのだと思います。当時、不満のあった時間の制約も、いまではむしろ時間の使い方にはけじめが大切なんだな、と振り返るエピソードです。

卒業制作『わたしをうたう− like someone in love − 』2006

―卒業・修了作品について紹介してください。

 

 

タイトル 【 わたしをうたう − like someone in love − 】

制作年  【 2006年 】

 

4年生の頃、尾道でみた景色をきっかけに制作しました。

尾道の小高い斜面に立ってみると、その向かいの島とそれに挟まれて流れる尾道水道とが一望でき、スケッチをしていくうち日が暮れて、淡い紺色の視野の中には、家々の明かり、行き交う車や電車や船の明かりだけが浮かびあがり、きらきらととてもきれいでした。その風景の中に自分自身も含まれていると感じたことで、人の心の中にはこうした風景が広がっているのだろうか、と考えるようになりました。こ

の作品からモチーフとして人物が増え、作品のテーマは「人の心」になりました。

 

 

 

―卒業・修了作品展の経験は、その後の制作活動や現在のお仕事にどのような影響を与えていますか。

 

 

卒業制作展は大きな区切りになりました。その時点で、勉強したいことも、自分が取り組んでいきたいこともまだまだたくさんあると感じ、本格的に絵に携わっていきたいと考えるようになったきっかけです。展覧会会場で強くそう思ったことで、今もできるだけ発表の機会を作るよう意識しています。ただ画面に向き合うだけでは自分のことなのに不思議ですが案外見えてこないものが多く、会場で作品を見ることで自分自身と向き合えるものがあります。

 

 

 

―卒業生として、後輩に向けてメッセージをお願いします。

 

 

卒業してから10年ほど経ちますが、一緒に制作していた9人の仲間の現在の姿は色々です。絵を描いている人も、他のジャンルに移った人も、絵を辞めた人もいます。また、今の私の身の周りを見回してみても、絵との関わり方は人によって本当に様々で、思いも人それぞれにあるのだろうと思います。

どうあれ、のびのびしている人の作品は魅力的ですし、またのびのび過ごしている人の言葉は素敵です。自分の真ん中に何があって欲しいかは自分で考えるよりなく、それを掴むにも楽しいことばかりではありませんが、魅力的な作品に触れて、素敵な言葉に出会うことで背中を押されることがあります。芸術に携わった経験はきっと日々を彩る何かに繋がっていくでしょうし、自分の目の前に続く道をまっすぐ進むための力になると思います。

 

 

 

―今後の展示予定また宣伝などがございましたらご自由に記載くださいませ。

 

 

以下二点の展覧会を開催予定です。

 

・広島市立大学芸術学部日本画研究室主催「Flag of the West 2016」プロジェクト

2016年春、東京都内6カ所で広島市立大学日本画専攻卒業生・修了生・大学院生による企画展を同時開催します。

会期:2016年3月末〜(随時各会場にて開催)

展覧会場:佐藤美術館/かわべ美術/ナカジマアート/数寄和/森田画廊/LowerAkihabara

詳細は広島市立大学芸術学部日本画研究室HP

http://nihonga.art.hiroshima­cu.ac.jp

 

・個展「豊嶋浩子 日本画展」会期:2016年4月18日〜23日会場:ぎゃらりぃ朋 http://www.geocities.jp/gallerytomo1998

豊嶋 浩子 Toyoshima Hiroko

 

 

学生時代の専攻:日本画

卒業年:2006年

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